焼き物は焼いてみないとどう仕上がるのかがわかりません。なので、釉薬を作るときも原料を1グラムずつだったり、0.5グラムずつとか増減させて何通りも作り、焼いてテストをして焼き上がりをみてまた原料のグラムを変えてテストをする、ということを繰り返します。大きな窯だと中々埋まらなくて大変なので小型の電気窯があるとすぐにテスト出来て便利です。
この電気窯は日本電産シンポ製のDMT-01です。家庭用電源でいける小ささなので、普通のコンセントにさして使えるのでとても経済的です。もう少し大きいといいなと思いますが、ちょっとの量をテストするにはとても助かります。
ただ、この窯は経年使用により電熱線の交換が必須となります。だんだんと線が細くなり波打って飛び出してきて、焼成は頑張って最高温度まで時間をかけていきますが、かなり何時間もオーバーします。素焼きならいいですが、本焼きはそうなってくると張り替えないと無理で、そのため自分で張り替えやすい様に作られています。
背面を開けると多少さびが出ていました。でもかなり釉薬も完全乾燥してから入れることを心がけているので、そこまでのさびじゃなくて良かったです。さびを掃除し、電熱線をつないでいるプラグを外します。このプラグも一個から買えるのであまりにも腐食していたものは交換します。
電熱線をとめているU字の釘をペンチで引っこ抜きます。この窯は炉壁の耐火レンガが焼き締まりやすいので、この釘を抜くのが結構大変です。釘が全部抜ければ、電熱線は簡単に外れます。もう固くしまっていて、引っ張るとボロボロと折れて崩れ落ちます。ここまで頑張ってくれて本当ありがとうの気持ちです。
炉壁も焼成により隙間が生じます。細かい所は無視しますが、大きな部分は炉壁補修材であるアルミナセメントで隙間を埋めていきます。
アルミナセメントを良く乾かしたら、新しい電熱線を入れて、U字釘をゴムハンマーで打ち付け固定し、背面のプラグを繋ぎ直して張り替え終了です。
この窯は家庭用電源でもいけるように、部屋の中でも焚けるくらい焼成中でも表面が触ってもヤケドしないくらいの温度です。炉壁も特殊な耐火レンガのようで、焼き締まりやすく経年で焼成回数が重なると余計にどんどん締まっていって、どうしても電熱線への負荷が大きくなるみたいです。そのため一回目の電熱線は5年くらい保ちましたが、2回目はあっと間で1年保ちませんでした。これで3回目への張り替えなのでもう次は低温の素焼き・上絵専用窯にするしかなさそうです。